Column お役立ちコラム

【トレーニング】筋トレを続けることの意外な効果とは!?

体を柔らかくしたいならストレッチよりも筋トレが効果的!?

当院のお客様にも、体を柔らかくしたい!というご希望は多いです。

Mortonら(2011)の研究によると、ある一定期間以上(5週間以上)筋トレを続けた場合、

筋トレにはストレッチと同等かそれ以上の柔軟性獲得(ひざ関節、股関節、肩関節)の効果があることがわかっています。

これは、筋トレによって筋肉そのものの構造が変化したのではなく、

「ストレッチトレランス」と呼ばれる痛みの閾値が変化したことが要因だと考えられています。

つまり筋肉がストレッチ(伸ばされる力)に耐えられるようになるということです。

例えばお相撲さんは開脚のストレッチをマストで行いますが、

最初は痛くて全然開かなかった脚が、ジワジワ伸ばして慣れてくるとだんだん柔らかくなっていきます。

これはストレッチだけでなく、筋トレをした場合でも同等以上の効果が望めます。

スポーツ界では、筋トレをすると筋肉が硬くなってしまうからやらない方がいい!

といった迷信もありましたが、長期的にみてそのような心配はありません。

むしろ体は柔らかくなっていきます。(度合いに個人差はありますが…)


◆筋肉をつけると体が重くなり、スピードが遅くなる!は間違い!?

筋肉をつけてムキムキになると体が重くなったり、スポーツ界では俊敏性がなくなると言われることもありました。

筋肉の量と出力(パワー)は基本的には正の相関があります。

原則的には筋肉はつければつけるほどパワーは上がります。

もちろん日常生活レベルや、各スポーツには適した体重や体脂肪率、ボディバランスというものがあるので、

筋肉をつけるほど良いというわけではないですが、陸上の100mの選手が筋骨隆々であることをみても

『筋トレが体を重くする、スピードを殺す』というのは誤りでしょう。

筋肉が増えると日常生活の動作が軽くなります!


◆筋トレをして寝たきりを防げ!

「高齢化が進む日本において、加齢による疾患として社会問題になりつつあるのがサルコペニアです。

サルコペニアとは、「加齢に伴う筋肉量や筋力の減少」のことを指します。

サルコペニアが進んで、活動レベルが低下すると転倒して骨折、というような自体が起こりやすくなります。

高齢者の骨折は寝たきりに繋がることが多く、それに伴って認知症が進行してしまうこともあります。

転倒などの事故がなかったとしても、サルコペニアが進むと、フレイルという「要介護の前段階の虚弱状態」になってしまうこともあります。

 因みに、要介護のになる原因は、
1番が「脳卒中」、2番が「認知症」、3番が「高齢による虚弱」、4番目が「骨折・転倒」、5番目が関節疾患です。

3番目以下を合わせた「筋肉や関節、骨といった運動器の機能低下」が全体の約30%になります。(厚労省「国民生活基礎調査」2013年より)

筋肉をつけてこれらの原因を予防することが、寝たきりを防ぐ有効な手段になります。


◆年を取ってからでも筋肉量は増えるの?

 2016年に米国で行われた研究では、60歳前後の男女に筋トレを行わせたところ、

10週間で平均7〜8%もの筋量の増加が確認されたそうです。

成長期を過ぎていても、還暦を迎えていてもトレーニングをすれば筋肉量は増えるので、年齢を理由に諦める必要は全くありません。

◆筋トレは骨を強くする!

 筋トレはアンチエイジング効果がありますが、中でも見逃せないのが「骨」への効果です。

骨量は加齢とともに低下しますが、特に女性は閉経前後に骨形成を促すエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が低下することがわかっています。

骨粗しょう症は、骨密度が低下により、強度が低下し骨折しやすくなっている状態です。

これが筋トレで改善できる可能性があります。

2017年にBone誌に掲載された論文によると、平均年齢44歳の男性を対象に12ヶ月にわたり筋トレ、もしくはジャンプトレーニング(片脚、もしくは両脚ジャンプを40〜100回)をしたところ、

「スクレロスチン」という骨形成を阻害するたんぱく質が減少し、反対に骨形成を促すIGF-1(インスリン様成長因子)の分泌量が増加するという結果が出たそうです。

筋トレをすることで、骨が強くなる物質が分泌されるということです。

さらに、中ー高強度でトレーニングを行うと6ヶ月後に脊柱の骨量増加、12ヶ月後には骨盤の骨量増加が認められたとの報告もあります。

これは「オステオカルシン」という骨形成を促すたんぱく質が増加したことが一員であると考えられており、ジャンプトレーニングと比較しても、骨量が増加したのは筋トレのみであったそうです。

骨粗しょう症の予防には適度な筋力トレの継続が最も効率的かもしれませんね。