【健康】睡眠の質が人生を決める! Part 2
◆入眠後の90分の質を上げる!
睡眠は寝始めの90分がゴールデンタイムと言われています。
成長ホルモンが最も多く分泌されるのは最初 の90分(ノンレム睡眠)です。
この一番深いノンレム睡眠の質が悪かったり、外部から疎外されたりすると、成長ホルモンは正常に分泌されません。
成長ホルモンは、子どもの成長だけでなく、大人の細胞増殖や正常な代謝を促進させる働きがあり、アンチエイジングにも効果があります。
また、長く起きていると「眠りたい」という睡眠欲求(「睡眠圧」)が高まって来ますが、最初の90分のノンレム睡眠でその睡眠圧の多くが解放されることもわかっています。
「寝る時間がない」のであれば、最初の90分の質は下げてはいけません。
その上で、ショートスリーパー以外の普通の人は、最低でも6時間以上寝るのがベストです。
難しいのはわかっていても、できるだけ最低6時間睡眠に近づけましょう。
睡眠だけでなく、人生の質すら変わってくるかもしれませんよ!
◆入眠後の90分の質を上げるメリット!
《メリット1 「自律神経」が整う》
睡眠=完全な休息ではありません。100%電源オフではなく、「スリープモード」になっています。
人間の体では自律神経が常に働いていて、体温を維持し、心臓を動かし、呼吸し、消化し、ホルモンや 代謝を調整しています。
この自律神経には、体を活動モードにする「交感神経」と、リラックスモードにする「副交感神経」があります。
この2つは24時間、代わる代わるどちらかが約30%優位になります。
日中は交感神経が優位に働き筋肉と心臓の働きが活発になり、脳は緊張感と集中力を増します。
一方、ノンレム睡眠や食後は、副交感神経が優位になります。
心拍や呼吸が緩やかになり、食後は胃腸の働きが活発になり、消化と排泄が促されます。
どちらもなくてはならない働きですが、多くのビジネスパーソンにとっての悩みは交感神経優位の状態、つまり活動モードの時間が長過ぎる点です。
活動モードが続けば、当然体と脳は疲労しストレスが溜まります。
夜になったら、スムーズに副交感神経優位の状態に交代しないと、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなります。
やがて自律神経のバランスが崩れ、体温や腸の働きなど根本的な体の機能も乱れます。
また、自律神経の不調は体ばかりか心の病気の原因にもなる。頭痛、ストレス、疲労感、イライラ、肩こり、冷え性など、「何となく調子が悪い」という症状は自律神経の乱れが原因であることが多いです。
そこで重要なのが『入眠後の90分の睡眠の質』です。
最も深い眠りが出現する入眠 後の90分で副交感神経優位に転換し、しっかり眠り、脳と体を休ませることで自律神経を整いやすくなります。
《メリット2「成長ホルモン」の80%が分泌する》
生物の体はすべて、24時間前後で1周する固有の体内時計「サーカディアンリズム」を持っていて、実際には地球の自転に合わせて「24時間(日内リズム)」で動いています。
多くのホルモンもこの日内リズムの影響下で働いています。
しかし、成長ホルモンは日内リズムの影響を受けはするものの、分泌量は圧倒的にノンレム睡眠に依存しています。
成長ホルモンは第一周期のノンレム睡眠時に際立って高く(70~80%)分泌される特殊なホルモンで、いつもなら寝ている時間に起きていると全く分泌されません。
入眠時間を明け方や日中にずらすと、入眠初期に分泌を観察できますが、夜間の第一周期ほどの大きな分泌は起きません。
しかし、決まった時間に眠れていれば、仮に5時間しか睡眠時間を確保できなくても、最初の90分をしっかりと眠れば、少なくとも成長ホルモンの分泌の全体量はさほど減らさずに済みます。
《メリット3「脳のコンディション」が上がる》
質の良い眠りにはノンレム睡眠だけでなく、レム睡眠も欠かせません。
例えばうつ病患者には最初の深いノンレム睡眠が不十分で、レム睡眠がとても早く出現します。
また、日中何度も突然眠ってしまうナルコレプシー患者は、入眠時にいきなりレム睡眠が出現し、これが「金縛り発作」や「脱力発作」の原因になります。
因果関係ははっきり解明されていないようですが、抗うつ薬の多くは「レム睡眠抑制」の作用があり、ナレコレプシー患者の「脱力発作予防」に用いられています。
病状が改善し、最初の深いノンレム睡眠が整うとレム睡眠も整い、全体のスリープサイクルも整うことがわかっています。
脳と眠りの関係はまだまだ謎が多いですが、うつ病や統合失調症の患者は最初の90分が乱れている事実から、脳のコンディションを整えることと、入眠時の90分の質には深い関連があると考えられています。